はじめに
腰痛に対するストレッチについてお話します。
ストレッチというと何を思い浮かべるでしょうか?
おそらく体を伸ばしたりひねったり腕を伸ばしたりしている場面でしょうか?
学生時代によくやったアキレス腱を伸ばすようなストレッチをイメージする方も多いかもしれません。
そしてイメージするのはやはり筋肉を伸ばすことでしょう。
もちろん筋肉のストレッチも痛みを改善させるためにはとても大切です。
ですが筋肉をストレッチをする前にまずは皮膚のストレッチをしてあげることを私はお勧めします。
筋肉をストレッチする前に皮膚をストレッチしてあげることの大切さやその方法についてお伝えしていきたいと思っております。
そもそもストレッチって筋肉だけのものなの?
筋肉を狙ったストレッチでもある程度は表面の皮膚の動きがでるのはでるのですが筋肉と皮膚を分けてストレッチしてあげたほうがより痛みを和らげるためには効果的であると患者さんを治療していて本当に実感しています。
そんな効果があってかんたんな皮膚ストレッチの方法をこれからお伝えしていきます。
腰痛のための皮膚ストレッチの方法を説明するよ
痛みを感じる場所をより明確にさせよう!
実際に治療に入る前にまずは日常生活を送る上で腰痛を感じる場所をさらに明確にする必要があります。
もしも分かりにくい場合は立った状態で前屈や後屈もしくは側屈といった動作をやってみてください。
そして腰痛を感じる部位をできる限り再現・特定してみてください。
皮膚の動きが悪い場所の特定
それではこれから皮膚の動きが悪い場所を特定する作業に移ります。ポジションを変えてうつ伏せになりましょう。
図は右の腰が痛い場合のポジショニングです。
足や腰が硬い人は図のようにお腹の下にクッションや枕を入れてあげるとよりリラックスできます。
皮膚の動きの悪い方向を特定
腰痛を感じる部位は体の深部にある筋肉だけでなく同時に皮膚もかたくなっていることがほとんどで皮膚の動きも悪いです。
まずは先ほど特定した腰痛を感じる部分に手を当ててみてください。
そして痛みを感じない部分に手を当ててみてください。
皮膚の動きやすさ動かしやすさに違い(左右差なども)を感じられるのではないでしょうか?
そして動きの悪い部分(先ほど動きが悪い場所を感じ取れなかった場合は痛みを感じる場所の皮膚表面)を手のひら全体通して滑らせます。
この時のポイントとしては時計をイメージして・・・。
- 時計の中心→12時へ、
- 中心→1時の方向へ、
- 中心から2時、3時…10時…
といった具合に時計の中心から時計を思い浮かべながら12の方向へ時計をぐるーっと、一周回すように手のひら全体で滑らせます。動かしていく中で動きにくいなと感じる方向がわかりましたでしょうか?
その動きにくいなと感じた方向は忘れずに覚えておいてください。
皮膚を縮める
新しい治療アイデアに入っていきたいと思います。
下の図をご参照ください。
これは皮膚の組織を自分の手で縮めている様子を表した図になります。
皮膚表面を手で軽くつかむようにして皮膚を寄せ集めます。
特に痛みを感じ始めて間もない頃はこの皮膚を縮める方法が非常に効果的です。
それでは動きの悪い方向を特定できたら(はっきりわからなくても多分この方向かな・・・?で結構ですよ。)これまでは背中を手のひら全体で触れていたのを指先を軽く前げて先ほど特定した腰痛があって動きの悪い部位を触れましょう。
そして10秒ほど皮膚を指先で軽く引っ掛けるように引っ張ります。10秒ほど引っ張ったら一度ゆるめます。
そして再び先ほど動きが悪かった方向に動かしてみましょう。
先ほど10秒間ほどかけて皮膚をストレッチする前と比べて明らかにやわらかくなっているのではないでしょうか?
そうなんです!これが皮膚ストレッチの効果です。
この手順で動きの悪い方向を感じたら指先を軽くまげて引っ張る作業を繰り返してみましょう。
何度か繰り返した頃にはあなたの腰はかなりリラックスし先ほどのガンコな硬さからは、かなり解放されているのではないでしょうか。
私が理学療法士として患者さんを治療する時には、必ずこの「筋肉と皮膚を分けて考え治療する」ということは実践しています。
それは筋肉の硬さと皮膚の硬さを同時にストレッチして柔らかくしようとしても、なかなか同時に柔軟性を出してあげることは難しいためです。
皮膚を伸ばす
これは硬くなっている部分を伸ばしている図になります。
この時に皮膚を引っ張る方向としては、より硬さを感じる方向へ引っ張ってあげるようにしてください。
もちろん皮膚の硬さを感じる方向をハッキリ特定することが難しい場合はおおよそこのあたりかなぁ・・・。と感じる方向で結構です。
皮膚を縮めるときと同じように10秒間ほど皮膚を伸ばしをおこなってください。
皮膚を縮めたり伸ばすことで皮膚をストレッチする方法をこれまでお伝えしてきました。
ここまでの皮膚を縮めたり伸ばしてストレッチする方法であまり動きが改善しなかったり、もっと動きを出したいなと思われた方は次の方法を試してみてください。
皮膚をねじる
最後に皮膚の表面を軽くねじるようにして動きをだす方法をご紹介していきます。
下の図を参考にしながら実際にあなたもやってみましょう。
皮膚の動きにくさもしくは痛みを感じる部位に指先で軽い圧を加えながらネジを回す時の要領で時計回りそして反時計回り周りの方向に背中の皮膚を動かしてみてください。
この時のポイントとしては「動きやすい方向に動かすこと」がとても重要になります。
手のひら全体で皮膚を動かした時のように10秒前後皮膚をねじった状態で皮膚をストレッチします。
そして10秒ほどストレッチしたら手をゆるめてみましょう。
先ほどと比べて柔らかくなっているかを確認してみます。
仮にもし柔らかくなっていなかったらもう一度チャレンジしてみましょう。
もしも柔らかくなっていたら他に皮膚の硬さのある部分を探してみてネジまわしをイメージしながら自分で治療していきましょう。
ここまでは皮膚ストレッチの様々なバリエーションについてお伝えしてきました。
ひと言に皮膚のストレッチといっても動きの悪い部分を探す。
そして動かす方法にも色々なやり方があることをわかっていただけたのではないでしょうか?
やり方は非常にシンプルなのですが自分で自分の腰の痛みとしっかりと向き合いながら、自分の手で動きにくい部分を感じとってあげることが、とても大切になってきます。
あなたの腰が少しでも痛みから解放されるように願って私が普段患者様に治療いている方法をお伝えしました。
次は骨の輪郭に沿った皮膚ストレッチを行うことで硬い皮膚をやわらかくして痛みを解消する治療法についてお伝えしていきたいと思います。
背骨や腰の骨の輪郭にそって皮膚を指でなぞってみましょう。
ここまでは腰部の筋肉をストレッチする前に表面の皮膚がかたい部分を実際に自分で触って感じとりストレッチングする方法についてご紹介してきました。
これからは背中の骨格にそって皮膚の動きをつくる皮膚ストレッチのアイデアについてお伝えしていきたいと思います。
腰痛に対する骨の輪郭に沿った治療をお伝えしますが、その前にまずは腰の構造はどのようになっているのかを最初に見ていきたいと思います。
その前に腰の周りの骨ってどんなふうになってるの?
上の図にあるように背中の中心にある背骨を脊柱とよびます。
その中でも特に腰の方の脊柱を腰椎とよびます。
また骨盤は本来は3つの腸骨・坐骨・恥骨という骨から構成されていますが成長するにつれそれぞれが癒合して寛骨と呼ばれるようになります。
寛骨の上縁部分を腸骨稜といいます。
腰の骨はどんなふうに指でなぞればいいの?
この時のポジションとしてはリラックスできるようにうつ伏せを選択します。(お腹の下に座布団やクッションを入れることができるとよりリラックスできますよ。)
手の届く範囲で痛みを感じる側を背骨の上から下(頭側から臀部)に向かって指先をあまり強くない力で滑らせます。
骨盤の周りはどんなふうに指でなぞればいいの?
今度は先ほどの骨盤の上の縁(腸骨稜)に沿って滑らせます。
背骨の中心の方から外側に向かった指を滑らせます。
このように骨の輪郭に沿って皮膚をストレッチすることでより効率的に皮膚のかたさが取れて腰部痛が改善し普段の生活の中での痛みから解放されることにつながります。
まとめ
腰痛のある腰の筋肉をストレッチしてあげる前に筋肉のより表層にある皮膚をストレッチしてあげることの大切さや背骨や骨盤の上の方(腸骨稜)の輪郭に沿った皮膚ストレッチの方法についてお伝えしました。
皮膚ストレッチの注意点としてはケガをしてそれほど経っておらず熱をもったり腫れている時期や手術の直後で痛みがある時などは
症状を悪化させる危険性が高いため皮膚のストレッチは行わないように留意ください。
腰を自分の手だけで触るのが難しい場合や全く改善がみられない場合は近くの整形外科を受診され理学療法士から治療を受けると良いでしょう。
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