はじめに
食べ物の飲み込み(以下、嚥下:えんげ)や咀嚼(そしゃく)などの人間にとって重要な機能に舌骨の動きが大きく影響していることをお話をしたいと思います。
そもそも舌骨ってどこにあるの?
舌骨はここにあります!(黄色の部分です。)
舌骨は他の骨あるいは軟骨などと関節を持たない人体で唯一の骨になります。
舌骨に付着する筋肉
舌骨より上にある舌骨上筋群が舌骨を上に引き上げ、舌骨下筋群が舌骨下部に付着し舌骨を引き下げる作用があります。
舌骨上筋群
これは脳神経支配のため脳卒中による運動麻痺が生じやすい。
オトガイ舌骨筋
作用:嚥下時に舌骨を前方に牽引する。開口を補助する。
顎舌骨筋
嚥下時に賦活されます。
作用:嚥下時に舌骨を前方に牽引する。咀嚼時に開口と側方運動を補助する。
顎ニ腹筋
嚥下時には働きません。
顎を動かしたときに賦活します。
作用:1つの筋肉として名前がつけられていますが前腹と後腹では発生的な由来が異なります。
茎突舌骨筋
作用:嚥下時に舌骨を挙上させる。下顎骨の引き上げを補助する。
舌骨下筋群
脳卒中により運動麻痺が生じることはほとんどないが、加齢・努力性呼吸時・不良座位姿勢において筋肉が短く(短縮)なりやすい。
甲状舌骨筋
作用:舌骨を引き下げて固定する。嚥下時に咽頭を引き上げる。
胸骨舌骨筋
作用:舌骨を引き下げる。(固定する)発生や嚥下の最終段階で喉頭を舌骨に引き下げる。
肩甲舌骨筋
作用:舌骨を引き下げる(固定する)発声や嚥下の最終段階で喉頭を舌骨に引き下さげる。
胸骨甲状筋
作用:舌骨を引き下げる(固定する)発生や嚥下の最終段階で喉頭を舌骨に引き下げる。
舌骨の動きが悪くなるとどうなるの?
舌骨はこれらの舌骨上筋群と舌骨下筋群が舌骨に付着するため間に挟まれた状態で浮遊しています。
そのため舌骨が下顎骨・喉頭と距離を保ち舌骨の自由な運動域が保たれています。
このように舌骨が浮遊しているおかげで多様な動きを担保でき嚥下のみならず呼吸・開口・咀嚼・会話や笑ったり歌ったりするなどといった多様な機能が行えるのです。
したがって舌骨下筋群に硬さがあると舌骨の動きが悪くなりバランスも悪くなります。
そのため呼吸・開口・咀嚼・会話のほかに笑ったり歌を歌ったりすることを行い難くなってしまうのです。
まとめ
舌骨は普段なかなか着目されることの少ない骨ですが人体の中で唯一関節を持たない骨であるという大変面白い特徴があります。
そして嚥下以外にも様々な機能に影響を及ぼすという意外に重要な働きができるのです。
食べたり飲んだりするときにむせてしまうなどの症状がある方は舌骨を動かしてあげてから食べると普段と変化を感じるかも知れません。
この記事へのコメントはありません。