はじめに
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは骨がスポンジのようにスカスカになって、もろくなり骨折しやすくなる病気です。
これから骨粗鬆症の原因と治療方法についてお話していきます。
骨粗鬆症ってどんな病気?
骨も他の体の組織と同様に新陳代謝をしています。
これを骨代謝あるいは骨のリモデリングと言います。
破骨細胞により骨吸収(骨が壊される)され骨芽細胞により骨形成(骨が新しく作られる)されます。
この骨粗鬆症では骨の吸収ばかりが進んでしまい骨芽細胞による骨形成が追いつかないため骨がもろくなってしまうのです。
骨粗鬆症の起こる原因
骨粗鬆症は女性に多い病気で患者さんの80%以上は女性であると言われている骨粗鬆症の原因についてみていきます。
閉経による女性ホルモン低下
女性ホルモンのであるひとつであるエストロゲンは骨の新陳代謝で骨吸収を緩やかにして骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きがあります。
そのため閉経後に女性ホルモンの分泌が低下すると急激に骨密度が減ってしまうのです。
ちなみに女性が要介護状態に陥る原因の第5位は「骨折・転倒」と言われています。
骨粗鬆症の原因となりやすい疾患
関節リウマチ(RA)・副甲状腺機能亢進症・糖尿病(DM)・慢性腎臓病(CKD)・動脈硬化症・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
上記の病気以外にも内服している薬によって発症する骨粗鬆症もあります。
代表的な例はステロイドを長期間服用した時に生じやすくなります。
骨折したからといっても必ずしも骨粗鬆症ではないって本当?
骨密度だけでは骨折のリスクは必ずしも説明できないことがわかってきており骨密度の高低で説明できる骨折のリスクは全体の70%と報告されています。
もちろん骨粗鬆症にある人は骨折のリスクがかなり高くなります。
しかし骨密度がしっかりあっても転倒などによって骨折してしまう可能性は十分あります。
「こんなに若くて普段から運動もしているような人がなんで滑って転んだだけで骨折するの?」というようなことも臨床にいるとときどきであいます。
骨粗鬆症の治療方法
骨粗鬆症の治療には
・食事療法
・運動療法
・薬物療法
この3種類があります。
食事療法
下記の栄養素を食事もしくはサプリメントから摂取することで骨密度の低下を防ぐことが期待できます。
どのような食品から摂取できるのかをそれぞれまとめてみたいと思います。
カルシウム
骨の主たる成分になります。また筋肉の収縮させたり血流の凝固作用を促ことや精神を安定させる効果のあるミネラルのひとつです。
多く含まれる食べ物:牛乳・ヨーグルト・チーズ・大豆・木綿豆腐・納豆・ひじき・こまつな・大根の葉
たんぱく質
体の主な構成成分です。
タンパク質は20種類のアミノ酸が結合してできています。
コラーゲンもこの一種でカルシウムを骨に吸着させる働きがあり強い骨を作ります。
多く含まれる食べ物:魚・肉・卵・豆・乳製品
ビタミンD
腸からのカルシウム吸収を促進し血液に入ったカルシウムを骨まで運んでくれます。
多く含まれる食べ物:アジ・サンマ・鮭・しめじ・干し椎茸
ビタミンK
骨にカルシウムを沈着させるために必要なタンパク質の一種であるオステオカルシンを活性化したりカルシウムが尿中に排泄されるのを抑制してくれます。
他には骨が破壊されるのを防いでくれます。
多く含まれる食べ物:ひじき・ブロッコリー・こまつな・ホウレンソウ
運動療法
骨は体重をのせるなど負荷がかかるほど骨をつくる細胞が活発になり強くなる性質があります。
散歩を日課にしたり階段の上り下りを取り入れるなど日常生活のなかでできるだけ運動量を増やしましょう。
骨折予防に有効な運動はウォーキング・ジョギング・エアロビクスなどがありますが、ご自身の体の状態にあわせて無理なく続けることが大切です。
運動しなくては…と考えると気負ってしまうため普段からの自分の足で歩いて移動するようにするなどの習慣が大切になってくると思います。
薬物療法
ビスホスホネート
骨粗鬆症の治療に非常に有効な薬です。
顎(あご)の骨の炎症を起こす(顎骨骨髄炎・骨壊死)という副作用を起こす場合があります。
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
閉経後の女性ではエストロゲンが少なくなるためこのエストロゲンを補うことで骨密度を増やせることが分かっています。
しかしエストロゲン製剤は子宮がんや乳がんなどの発がんリスクを高めるという問題もあり注意が必要です。
活性型ビタミンD3
体内で活性化したビタミンDは活性型ビタミンD3となり小腸からのカルシウムの吸収を促進することで骨を作る過程(骨形成)であるリモデリングを促進させ、骨量の減少を抑える作用をもちます。
副甲状腺ホルモン(PTH)
副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進する役割があります。
血中のカルシウム濃度を上昇させるために、副甲状腺ホルモンが重要です。
抗ランクル抗体
破を破壊する破骨細胞を活性化するランクルと呼ばれるタンパク質の働きを抑えることで骨を少しでも丈夫にする作用があります。
カルシウム薬とビタミンK2薬
ビタミンK不足を補いますがサプリメントとの併用にて過剰に摂取しないよう注意が必要です。
まとめ
骨粗鬆症の患者さんはいち度でも骨折を経験してしまうと他の部位も骨折してしまう危険性が高いです。
このようなことにならないよう普段から運動したり自身の骨密度を知っておくといいでしょう。
そのためには検査を受けてみるなど、骨粗鬆症を予防するよう心がけておくことが大切になってきます。
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