はじめに
ロコモ度テストの1つである「ロコモ25」は自立した高齢者だけでなく要介護高齢者にも有用であることが今回の研究から明らかになりました。
またペーパーで簡単に評価できる評価であるため、簡便に日常生活動作能力を評価する指標になることも明らかになりました。
これは日本整形外科学会によるロコモ度テストの1項目であり自立した高齢者の運動機能低下を早期の段階から発見するきっかけとなるツールとして一般的になりつつあります。
このロコモ度テストの1つである「ロコモ25」が要介護・要支援者にとって簡便に日常生活動作能力を評価する指標になり得るかについて調査データを基に検証したところ有益なツールになることが分かりましたのでロコモ25について書いていきたいと思います。
ロコモ度テストってなに?
ロコモ度テストの内容については下記を参照していただければと思います。
参照)ロコモ度テスト
ロコモ度テストはシンプルなテストから構成されています。
- 立ち上がりテスト
- 2ステップテスト
- ロコモ25
の3つから構成されています。
この3つ目のロコモ25の内容は至ってシンプルなもので25コの質問からなります。
そしてこのロコモ25は基本的に基本的動作能力(以下、ADL)が自立した高齢者を対象にしていることに着眼して、要介護高齢者にも有用なテストになりえるのではないのかと考え研究しました。
ロコモ度テストを用いた研究
今回の研究では合計47名の方々にご協力いただました。
- 平均年齢は、平均79.6歳
- 平均介護度は要支援2
先ほどお話したように
- ロコモ25
に加え…
- 握力
- 介護度
- 2ステップテスト
- 10m歩行
- 年齢
- 性別
- 立ち上がり
以上の項目についても併せて調べました。
優位差を認めたもの
まず有意差が認められたものをご紹介します。
- 握握:握力は動作能力と比例するといわれている。
- 介護度:要介護度が日常生活動作能力とリンクすることが多いため。
- 2ステップ・10m歩行:歩行動作というより日常生活動作に近いものであるため。
有意差がなかったもの
次に有意差がなかったものです。
- 性別:男女が動作能力の高低とは一致しない。
- 年齢:高齢であるからといって必ずしも動作能力の高低とは一致しない
考察
立ち上がり動作は基本動作能力のひとつなので歩行や2ステップテストのように有意差がでるだろうと考えていたのですが相関係数を調べてみると有意差は認められませんでした。
この理由は何かと考えたのですが先ほどの参照資料をみていただくとわかるのですが
- ロコモ度テストの立ち上がりテストは座面の高さを10cm単位で難易度を変更するため、要支援・介護高齢者にとっては難易度が急に上がるのではないか。
- そして要介護高齢者には、もう少し小さい幅での座面の高さを変更した評価を実施すると有意差が認められる結果になったのではないか。
上記のように考え今後これをテーマにして数cm単位で調査してみても面白い結果になるのではないだろうかとも考えました。
要介護度や握力で高い相関がみられ、2ステップテストや10m歩行といった機能的な動作でも有意差が認められました。
一方で年齢や性別など動作能力に影響しない因子には有意差が認められませんでした。
以上のことから、健常者だけでなく要介護者にもロコモ25は有用なスケールであると考えました。
まとめ
- ロコモ25は運動機能低下を早期の段階から発見できるツールであること。
- 要介護高齢者においても有用な評価ツールであること。
- 簡単な25の項目で調査できるため簡便にどこでも使用できるツールであること。
上記のことがわかりましたので臨床の場でも非常に有用であると言えます。
今後の展開としてロコモ25を用いてより具体的な目標設定をするなど客観的な評価として用いていくようにするのもひとつであると考えました。
最後になりましたが個人的に好きな名言をご紹介します。
行動が必ずしも幸福をもたらすとは限らないが、行動のないところに幸福はない。(ベンジャミン・ディズレーリ)
ちょっとこの名言のそもそもの本意とはことなると思いますが、患者さん・利用者さんなど早い段階で動作能力の低下に気付き対処することがそういった患者さんの怪我を未然に防ぐためのきっかけに繋がると考えます。
今回の活動を通して患者の転倒事故などの事故を未然に防ぐためには、早い段階での気づきが重要であると改めて感じました。
参考になります!
先生
ありがとうございます。
もっと勉強して良い情報をお渡しできるように努めます!