リハビリ・健康

股関節の痛みに対する考え方や代表的な評価方法について紹介するよ

はじめに

まずはわかりやすいように股関節の6つある運動方向について改めておさらいし股関節の代表的な評価方法について具体的にご紹介します。

また股関節を始めとした痛みに対する考え方についてお話ししたいと思います。

股関節の動く方向について説明するよ!

屈曲:flexion

 

股関節の屈曲は股関節を軸として頭のほうに下肢全体が動いていく動きでしたね。

股関節屈曲の参考可動域は125°です。

しかし、より細かくみてみると股関節の屈曲は股関節だけではなく寛骨や仙骨そして腰椎の動きも伴っています。

  • 0〜110°:股関節
  • 110°:寛骨(股関節)
  • 130°:仙骨(寛骨・股関節)
  • 150°:腰椎(仙骨・寛骨・股関節)

このように110°を越えたあたりから20度ごとに動く部位が変わってきます。

これを20度の法則といいます。

ここまでお話してきたように股関節の純粋な屈曲の動きは110°であるとご紹介しました。

しかし研究者によってもこの股関節の角度はまちまちで理学療法士向けの講習会に参加したとき講師の先生は股関節の屈曲は70°であるとお話されていました。

このように人によっていうこともマチマチなのですが大切なことは繰り返しになりますが股関節の動きだけでなく寛骨や仙骨そして腰椎の動きも股関節の動きに大きく影響しているということです。

 

伸展:extension

股関節の伸展は屈曲の反対で尾側に向かって足全体が動いていく動きになります。

股関節伸展の参考可動域は15°です。

屈曲の20°の法則のように伸展にも10°の法則があります。

  • 10°まで:股関節
  • 20°まで:寛骨(股関節)
  • 30°まで:仙骨(寛骨・股関節)

したがって股関節だけでなく寛骨や仙骨の動きも合わせると股関節伸展の可動性は30度程度あるということになります。

内旋:internal rotation

外旋:external rotation

内転:adduction

 

外転:abduction

股関節の評価について紹介するよ

代表的な股関節の評価方法である

  • Fadir test
  • Faber test
  • Scour test

についてご紹介します。

Fadir test

Fadir testはフェディアーテスト(ファディアーテスト)とよびます。

評価する股関節を・・・

  • Flexion(屈曲)
  • Adduction(内転)
  • Internal Rotation(内旋)

上記のように股関節を屈曲・内転・内旋させたときに疼痛が股関節前方に誘発される場合に陽性となります。

股関節の前方インピンジメント(Femoroacetabular impingement:FAI)の評価になります。

Faber test(Patrickテスト)

これはファベレテストといいます。

股関節を・・・

  • Flexion(屈曲)
  • Abduction(外転)
  • External rotation(外旋)

させることで疼痛が誘発されるかをみます。

変形性股関節症では陽性のことが多く腰椎疾患との鑑別に有用です。

しかし仙腸関節由来の疼痛でも陽性となることがあるため繊細な評価が必要です。

またFadirテストと Faberテストは混同して覚えてしまいがちです。

  • Fadir testFlexion(屈曲)Adduction(内転)Internal Rotation(内旋)
  • Faber testFlexion(屈曲)Abduction(外転)External Rotation(外旋)

上記のようにそれぞれの運動方向の頭文字をとったものがそれぞれのテストの名前になっています。

このように覚えておくと覚えやすいかと思います。

Scour test

このScour test(スカウアーテスト)は大腿骨頭と股関節臼の関節軟骨の病変を評価するテストになります。

下の絵や説明のように評価を実施して疼痛がでれば陽性です。

  • 股関節と膝関節を屈曲させます。
  • 大腿骨長軸にそって荷重をかけながら股関節を内側そして外側へ動かします。

上記のように評価して疼痛がでれば陽性になります。

ここでは疼痛の有無だけでなく足を動かしたときの抵抗感そしてどのくらい動かしたときに痛みがでるのかをしっかり感じ取ってください。

股関節に痛みがあると股関節に原因があるの?

この記事のタイトルは「股関節の痛み」なのでこんなことを言うと本末転倒な感じもしますが股関節が痛いからといって股関節の痛みの原因が必ずしも股関節にあるとは限りません。

そしてこれは股関節だけに限らない話です。

誤解を恐れずにいえばそれ以外の部位の機能障害が影響を及ぼしていることが相当多いと日々臨床をしていて感じています。

  • 例えば腰の動きが悪い、力が弱いために回りまわって股関節にストレスがかかってしまい股関節に痛みを感じる患者さん。
  • 体幹の力が弱くて股関節にストレスが加わってしまうことにより股関節に痛みを訴える患者さん。
  • 股関節から遠いからだの部位である頚部や足首の硬さ(可動性の悪さ)が股関節の痛みに大きく影響しているケース

このように「本当の痛みの原因は患者さんの体を実際に評価してみないとわからない」というのが正直なところです。

もちろんここでいう評価というのは股関節の評価だけに限らず体の他の部位にとっても同様です。

もちろん転倒により股関節を骨折したり股関節の変形が進んでしまっているならばTHAなどの手術をするしかないのすが、なぜ股関節が変形してしまうのか、なぜここまで強い痛みが出てしまったのかを考える必要があるのです。

参照)人工股関節全置換術(THA)のリハビリや脱臼などの合併症について紹介するよ

このように股関節の痛みの原因についてほかの体の部位の要素がどのように影響しているかを評価してみてください。

まとめ

股関節の動きや代表的な股関節の評価方法そして股関節の痛みに対する考え方についてお話してきました。

このように股関節の評価だけをしてもその原因が股関節にないケースは多く股関節だけでなく他の体の部位も評価してみる必要は必ずありますが。

これは股関節だけに限らず痛みの評価を行う上で難しいところであります。

したがってもちろん股関節の評価も行いながら体の他の部位がどのように痛みと関係があるのかを知るためにさらに評価を深めていく必要があるのです。

これは理学療法士として評価を進める上でとても重要な視点であると思っております。

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