はじめに
この記事にたどり着いた方の多くが腰や体のどこかに痛みを抱えていると思います。
腰が痛いというと腰をさすってみたりストレッチなどをしてみる。
もしくはそういう行動も面倒になるほど痛みが続くので慢性的に痛み止めの薬に頼っている方も多いかもしれません。
腰が痛いという状況から逃れるために色々なことをやってみたくなるのは痛いほどよくわかります
。よくわかるのですがまずは「あなたの姿勢がどんなふうになっているのか」を自分自身を鏡で眺めてみて自分の姿勢の特徴を知る必要があります。
なぜなら普段の姿勢を少し変えてみるだけで体の痛みから解放されることが本当に多いからです。
これからまずは姿勢を自分で確認することの大切さやその際に姿勢をみるポイントとなる部分についてお話をしていきたいと思います。
わざわざ自分の姿勢を知ることが重要な理由ってなんなの?
理学療法士は患者さんを治療していく中で姿勢をものすごくを大切にします。
したがって患者さんの治療前後ではよほどのことがない限りほぼ間違いなく姿勢や動作を観察します。
姿勢を前後でみることによって治療の成果を判断する材料の一つとなります。
それにしてもなぜ痛みに悩んでいるにもかかわらず、わざわざ自分の姿勢を姿勢を知る必要があるのかというと姿勢の特徴から体のどこにストレスがかかっているか(かかりやすそうか?)を知るためです。(あくまでも予測の域は出ないのですが)
例えばあなたの腰が痛くてリハビリ(理学療法)を受けることになったとして…。
理学療法士はあなたが立っている姿勢あるいは歩いている姿などを観察して「膝が伸びにくいため姿勢が前かがみになり腰に過度ななストレスがかかっていることが腰痛の原因はないのかな?」と予測したりするわけです。
したがってこのサイトに来てくださっているあなたはおそらく腰や体のどこかに痛みがでているでしょうから、その痛む部位をストレッチしてあげることも場合によっては良い治療になるかもしれません。
しかしはじめにお話ししたようにまずは「なぜ腰がいたくなっているのか」その原因を姿勢を通して考えていくことがとても重要になるのです。
おそらく皆さんの中には「だから腰が痛いのにどうして体全体の姿勢を見る必要があるの?」とか「さっさと痛い腰のストレッチやマッサージをして楽になりたい・・・。」
そう思われる方もおられるでしょう。
ですがもういちど聞いてください!
腰をストレッチしたりマッサージしたりするだけでも確かに一時的には痛みから解放されて楽になる可能性はありますが「楽になった状態がずっと続いて欲しい・・・」と思うのであれば自分自身の姿勢の特性を必ず知っておく必要があるのです。
ほぼ間違いなく腰痛などの痛みに悩む方々は姿勢に特徴があります。
この姿勢の特徴は言いかえると姿勢のかたよりでもあります。
姿勢にかたよりが生じると腰や肩など特定の場所にストレスがかかってしまい身体の痛みの原因となるケースとなる場合が本当に多いんです。
わたしも普段の臨床では患者さんを治療をする前後には患者さんの全体的な姿勢をみることを当たり前のように行います。もうこれは無意識で行います。
それと同時にその姿勢から目の前の患者さんがどのような心理状態にあるのかというような心理的側面も合わせて考えながら姿勢を見みていきます。
なぜなら姿勢と心理状態とものすごく密接的に関係しているからです。
- 膝が曲がった状態で立ってるな。(体の構造)
- 腰を手で抑えてるな。かなり腰が痛いのかな?(体の構造・心理的側面)
- 気持ちが落ち込んでいるのかな・・・?(心理的側面)
この図を見てものすごく元気一杯に見えるという方はいないのはないでしょう。
それでは次の写真をみてあなただったらどう考えるでしょうか?
- 途方も無く自信を持った人なのかな・・・?(心理的側面)
- 背中がのけぞってて膝も曲がってるな。(体の構造)
- 心からあふれでる感情が前面に押し出されて、このような姿勢になってるのかな?(心理的側面)
- そう考えると本当はピシッとしたまっすぐな良い姿勢をとろうとすれば、膝も伸びてくるんかな?(体の構造)
とか…。
観察することで体の構造的な観点から心理的面。反対に心理面から体の構造を推測するように関係性を考えていきます。
先ほどの絵を見てみなさんが感じた印象と私の感想には大きな違いはないかもしれません。
先ほどもお話ししたこの姿勢を見るときに感じた「膝が曲がっていて伸びなさそうだな」とか「腰が痛そうだな」とか感じたことはあくまでもただの印象で姿勢を見るだけではそれが本当かどうかについては推測の域をでません。
先ほどの図に戻りますが、このような方が患者さんとして病院に来られたら、先ほど私や皆さんが感じた疑問を明確にするため検査や問診を行います。
悪い姿勢が原因で痛みが出ている場合、姿勢を変えることで痛みも改善するのではないかと考えるためです。
そのために理学療法士は本当に膝が伸びないのかなと関節の動く範囲を測って見たり痛みの状況について問診したりします。
・膝が曲がってて腰も曲がってるな。(体の構造)
→本当に膝は伸びないのかな。実際に膝が伸びないか膝の関節が動く範囲を検査させてもらおう。
・腰を手で抑えてるな。相当痛みを感じているのかな・・・?(体の構造・心理的側面)
→腰が痛いのか?痛いならいつ・どんなときに痛いのかを実際に患者さんに痛いかどうかを聞いてみよう(問診)
・気持ちが落ち込んでいるのかな・・・?(心理的側面)
→かなり精神的に落ち込んでいるかもしれないな。話を聞いてみようかな。
ここが一般の人には意外と簡単なようでなかなか出来ないことなのですが「他人の身体に触る」「痛みについてかなり深く聞いていく」ことをしていくわけです。
そして実際に患者さんの身体に触れたり触ったりすることで
- 本当に膝が伸びないのか?
- 力が入らないのか?
- 逆に力が抜けないのか?
- 痛みがあるのか?
といった姿勢や動きから感じる疑問(しばしばこれらの疑問は動きやすさを邪魔する要因になります。)を明らかにしていくわけです。
ですので腰痛の原因として膝が伸びにくいことにより負担がかかって痛くなってるのかな?
などと深く考えるには至らなくても「うわっ!わたしって意外と猫背なんだな…」「物凄い反り腰だな」「頭が体に対してかなり前にでているな…。」
などと客観的に自分の姿勢の特性を知るだけでもまずは十分です。
ここまでは痛みを和らげてあげたり痛みがない状態を続けることが重要です。
そのためにも、まずは自分自身の姿勢を鏡を通して見てあげることでどこか特徴的なところがないかを客観的に見てあげることの大切さをお伝えしました。
しかしそもそも一般的によく言われる「良い姿勢・悪い姿勢」っていったいどうやって見分けるのかについてのお話をさせていただきます。
そもそも良い姿勢ってどんな姿勢のことをいうの?
姿勢をみるときにポイントとなる指標にについてのお話していきます。
これら指標になっているところの名称は普段聞き慣れない言葉なのでなかなか覚えることができないと思うのですが骨が大きく隆起しているところや耳たぶといった身体の中でも見たり触ると特徴があって分かりやすいところばかりになります。
下の図を見てください。
人の体を後ろから見た姿勢と横から見た姿勢になります。
上から下までのまっすぐな線の上に姿勢を見る上でポイントとなる指標がのっかっている状態です。
この指標の名前がおそらく多くの方にとっては馴染みがなく難しい言葉だと思いますので簡単に説明させていただこうと思います。
後ろから見た図では・・・
・後頭隆起:後頭部のでっぱった部分
・椎骨棘突起:背骨のでっぱったところ
・臀裂:これはお尻の割れ目です。
・両膝関節内側の中心:左右の膝関節の内がわの中心。
・両内果の中心:左右の内くるぶしの中心。
横から見た図では・・・
・耳垂:耳たぶです。
・肩峰:肩の方から腕の外側へ指を滑らせるときに触れる骨の隆起(少しわかりにくいかも知れません。)
・大転子:太ももの外側の上の方にある大きなでっぱりです。
・膝関節前部:膝のお皿のあたりです。
・外果:外くるぶし
指標の言葉そのものははあまり馴染みがないと思いますが自分の体で実際に触ってみよるとかなり容易に触れて確認することができたのではないでしょうか?
これらの指標が一直線上にある姿勢これがよく言われる良い姿勢(立位姿勢)ですね。
私たち理学療法士は患者さんの姿勢をみる際にこれらの指標を持って姿勢をみるように教育されています。
専門家でなくても良い姿勢か悪い姿勢かなんてだいたいわかると思いますが、私たち理学療法士はこのような指標をもって患者さんの姿勢がどのようにゆがんでいるのか、くずれているのかを判断しなければなりませんのでこれらの指標を用います。
姿勢の特徴をみるときに非常に有用だと思いますので是非参考にしていただければと思います。
これらの指標がずれてしまうと…。
たとえばこんな姿勢になってしまうんですね・・・。
この姿勢はとてもではないですが良い姿勢とは言えないと思います。
こんな姿勢も一時的に取る分にはまだいいのですが癖になってしまってこの姿勢を長時間取るようになってしまうと大変です。
なぜなら体のバランスが偏った状態が続いてしまうことになりストレスが腰や膝や肩など同じ場所にかかり続けてしまうことになり痛みがでたり力が弱くなってしまうなどてくるなど不具合がでてきてしまいます。
したがってこの記事のタイトルでもお伝えしたようにあなたが抱えている痛みの原因も姿勢がおおきく影響しているかも知れません。
いちばん上でおみせしたような矢印で示した指標を全て意識してまっすぐな姿勢をとることは難しいかもしれません。
しかし普段の姿勢でもできるだけ線の上にポイントとなる指標を近づけようとすることは大切です。
(ただし決して無理しないでくださいね。指標がずれてしまっている理由には様々な要因があるためです。)
また普段より気が付いたときに意識して「自分の姿勢がまっすぐになっているかな…?」と鏡などで確認することを習慣化することがとても大切になります。
なぜなら実際の姿勢とあなたがイメージしている自分の姿勢とは大きく異なる場合が多くあるからです。
それではもう少し姿勢をみる視点を発展させてこれから体の動きを3次元で捉える視点についてお話していきたいと思います。
姿勢を3次元で捉える視点を紹介するよ!
人の体の姿勢(動き)は下の図のように前額面・水平面・矢状面の3つの面から捉えることができます。
具体的に前額面・水平面・矢状面とは何かということを簡単に説明すると…
前額面(基本前額面)は前や後ろからみた面。水平面(基本水平面)上や下からみた面。
矢状面(基本矢状面)横からみた面を言います。
例えばこの後ろを振り返る女性でしたら・・・
前額面(基本前額面)では前後から見た面なのでこの場合後ろから見た姿勢になります。左肩に比べ右肩が下がっているな・・・。
水平面(基本水平面)では足に対して体や頭が時計回りに回っているな・・・。
矢状面(基本矢状面)ではこの女性の写真では横向きからの図はないのでできれば横からの写真がないとよくわからないな。ただ腰の部分にかなりシワが入っているので体に対してお尻がかなり突き出した状態かな?だけどやっぱり横からの写真がないとこの面の動きがどのようになっているかはわからないな・・・。
このように3つの面から捉えるとより立体的に姿勢を捉えることができるのです。
もしこれで上述の水平面の概念が無いとするとこの写真の女性が後ろを振り返っているかどうかはわからないと思います。
これまでお話してきたようにご紹介した前額面・水平面での姿勢を見るときの指標(ポイント)に加え水平面での動きにも着目してご自分の姿勢を観察してみてくださいね。
まとめ
ここまで読んでくださった皆さんは腰痛などの体の痛みと姿勢とはおおいに関係があること。
そのためまずは自分の姿勢を確認することの重要性があることは十分にご理解いただいたのではないでしょうか。
そしてまずはストレッチなどをする前に鏡で自分の姿勢を見てできるだけ一直線上に指標が来るような姿勢を心がけましょう。
それだけでも腰にかかる負担が大きく軽減しもしかすると痛みそのものも相当改善してくるかもしれません。
このように決して侮れないのが姿勢です。
自分で鏡を通して姿勢を意識的に変えてみることで皆さんが腰痛などの痛みから解放されればこれほど嬉しい話は私にとってもありません。
ぜひこの記事を参考にしていただき普段と違う姿勢を心がけてくださいね。
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