リハビリ・健康

神経筋再教育のリハビリの方法や神経筋コントロールについてまとめます!

はじめに

神経筋再教育と神経筋コントロールを混同して使っちゃうことってありませんか?

そもそもあんまり分けて考えていなかったり、神経筋コントロールなんていう概念は知らないよというのが正直なところかもしれません。

最近、理学療法士の後輩と話をしていて私自身も働き始めたころ、この二つの考え方を分けて考えることができていなかった。

神経筋再教育という言葉は学校で習ったけども神経筋コントロールなんて概念が自分のなかでなかったですね。ハッキリ言って。

自分自身の反省も含め、これから神経筋再教育と神経筋コントロールについてまとめたいと思います。

神経筋再教育(NMRE)

神経筋再教育は英語でNeuro muscular re-educationNMRE  とよばれます。

Benettという学者がこの神経筋再教育の定義していて、

「骨格筋の随意運動の発達、または回復を目的とした運動療法の方法」

としています。

神経筋再教育は例えば…

  • ケガなどによって関節が硬くなり関節の動く範囲を関節可動域運動にて改善させます。そして新たに広がった可動域の部分で筋力が発揮できるように筋力トレーニングをすること
  • 脳卒中などにより生じた運動麻痺に対する筋力トレーニング

こういった状態に対して理学療法士は神経筋再教育を用いますよね。

神経筋再教育に必要な基本的条件をおさらいするよ!

  • 患者の協力がある
  • 患者の知的能力に問題がない
  • 神経系の運動路、知覚が残存する
  • 筋・腱に構築学的な異常がない
  • 神経筋再教育に必要な関節可動域を有する
  • 疼痛がない

これが一般的に神経筋再教育を行う上で必要な教科書レベルでの条件でしたね。

リハビリ治療を受ける患者さんの多くはご高齢の方ということもあり、なかなかこのような条件が揃うことは本当に少ないです。

したがって神経筋再教育の基本的条件が全てそろっていなくても神経筋再教育を実施していく必要があるのが臨床での実際です。

皆さんも普段から感じておられることでしょう。

神経筋再教育という概念は1940年代くらいから用いられているので相当な年月が経っています。

しかしこの原則や治療方法は治療家によっても異なっているのが現状で統一した見解がないのが実際のところです。

よく考えてみると職場の先輩に神経筋再教育を行うときにみんなやり方は微妙に違っているんじゃないですか。

このあたりを押さえていただいた上で手順の一例を具体的にご紹介したいと思います。

神経筋再教育の具体的な手順

セラピストは目的の筋を指で触れ撫でながら上の図のように(図は三角筋)

「これが今から運動しようとしている筋肉ですよ」

と患者に説明し動かそうとする部位と筋を認識させるとともに注意をそこに集中させます。

次にその筋が収縮したときに起こる運動を他動的にゆっくり2度やってみせます。(三角筋ならば上肢を外転、上腕二頭筋であれば肘屈曲させます。)

これは筋の運動感覚を認識させるためです。

そして今度はその筋に全精神を集中させ、できてもできなくても三角筋の収縮を生じるように促します。

そのときセラピストは「腕を上げてください。もっと上げてください。」

というように声がけを行い聴覚刺激も利用します。

もちろん筋力はzeroもしくはtraceであるなら関節運動は生じませんがセラピストがその運動を代行して行い患者の頭の中の努力を実現してみせます。

つまり他動運動が2回、頭の中で力を入れさせた代行運動1回が1セットとなるわけです。

できれば患側でこのテクニックを行う前に、健側の同じ筋で運動を行わせて患者の筋収縮、関節運動感覚の確認の補助を行います。

神経筋コントロール(NMC)

次に神経筋コントロールについてです。

神経筋コントロールは英語でNeuro muscular Control;NMCとよばれます。

神経筋コントロールは筋肉の収縮を動作や環境に合わせて制御(コントロール)する能力をいいます。

神経筋コントロールの具体的な手順

先ほどの肩関節の運動を例にあげると…

肩関節を屈曲させる(求心性収縮)

屈曲位で保持させる(等尺性収縮)

 

肩関節を屈曲位から伸展させる(遠心性収縮)

図のような位置で保持させる(等尺性収縮)

というような手順になります。

まだ筋力が十分にないのであればacitive assistive(自動介助運動)で行ってもいいです。ただ最終的にはhands off(セラピストは患者から手を放す)ところまで可能な範囲でもっていくようにすることが大切です。

セラピストはずっと患者さんと生活できませんので。

また抵抗をかけすぎないようにすることや疲労の程度など患者の表情にも着目し続けることが必要です。当然ですが。

ほかにも座位姿勢で行うときは姿勢が崩れないように注意することも肝心です。体幹の安定性がない状態ではそもそも腕に力を入れることが難しいですからね。

神経筋再教育と神経筋コントロールの違いについて

ここまでご紹介したように神経筋再教育と神経筋コントロールの両者を明確にわかるのは難しいところがあります。

なぜなら、しっかり神経筋再教育された筋肉にだけ神経筋コントロールを促すことは少ないからです。

臨床では神経筋再教育は非荷重位で神経筋コントロールは荷重位でも行われることが多いですがこれは患者さんの状態によってもまちまちです。

いずれにしてもまずは神経筋再教育を行ってからより普段の生活にも使えるように実用性を持たせるために神経筋を制御させるトレーニング、つまり神経筋コントロールをを行う必要があります。

まとめ

職場の理学療法士の後輩と話をしていて神経筋再教育と神経筋コントロールという概念はよく混同して使っているなと思います。

こんな偉そうなことを言っている私自身も理学療法士になってすぐのころは、この両者の概念について何も考えていなかったというのが正直なところです。

いろいろ悩んでしまうことの多い理学療法士になって間もないセラピストの助けに少しでもなれば幸いです。

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