はじめに
大腿骨頚部骨折の患者さんは本当に増えています。
この骨折は骨粗鬆症で骨がもろくなった高齢者を中心に多発することで有名です。
日本でも年間10数万人が受傷し多くの方がこの大腿骨頸部骨折が原因となって寝たきりになったり、閉じこもりになってしまっている状況です。
今回は大腿骨の解剖や骨折する原因そして頚部骨折を治療していく上での問題についてお話していきます。
大腿骨ってどんな形をしてるの?
大腿骨
大腿骨は股関節からすぐのところで大きく曲がっています。
この股関節から大きく曲がっているところまでを大腿骨頚部といいます。
内側大腿回旋動脈
内側大腿回旋動脈は大腿骨頸部を栄養している唯一の動脈です。
大腿骨を骨折する原因って?
大腿骨を骨折する上で1番多いのはやはり転倒や転落です。
先ほどもご紹介したように、人間はその曲がった大腿骨で体を支えています。
ただこの曲がったところは転倒や転落の時に外力が集中しやすく骨折しやすいという特徴があります。
頚部骨折を治療していく上で問題になるところって?
大腿骨頚部骨折を治療していく上での問題をご紹介します。
- 大腿骨頭は内側大腿回旋動脈による血行のみであり骨折後、骨頭には血行が乏しくなりやすい
- 骨膜がないために骨膜性仮骨が起こらない
- 関節液による血腫の形成が阻害される
- 力学的に剪断力が働きやすく骨癒合に不利
といった解剖学的に問題となる特徴があります。
血流障害による大腿骨の骨頭壊死が原因で大腿骨頭がつぶれてしまう合併症にも注意が必要です。
また頚部骨折が重度な場合は骨頭置換術や全人工股関節置換術が選択されることもあります。
参照)全人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)
まとめ
大腿骨の解剖や内側大腿回旋動脈、骨折が治る過程での問題となる点についてご紹介しました。
転倒を未然に防ぐことがこの骨折に対する最大の予防であり治療であるといえます。
転倒しないような体づくりや骨が脆くなる骨粗鬆症を予防改善すること。
そして自宅の環境を検討することも大切です。
普段からリハビリを受けているのであれば怪我をする前に理学療法士や身近な人に相談しておくのも対策の1つになりますので相談してみてくださいね。
この記事へのコメントはありません。