はじめに
認定理学療法士を取得したり、新たに目指そうとする理学療法士が年々増えています。
受験者数も増え続けているようで全国にある認定理学療法士の受験会場の一つである大阪会場は小さな建物を貸し切って毎年2月か3月にテストがありますが、受験する理学療法士で人が溢れ帰っています。
ただ認定理学療法士をせっかくとっても特に診療報酬が変わるわけでもないし、何らメリットがないと思っておられる方も多いのではないでしょうか。
何を隠そう私もそのように考えているひとりです。
私自身いくつかの分野で認定理学療法士を取得しましたが、認定理学療法士を持っていることの制度上のメリットを考えても誤解を恐れずに言えば、
「何もない。あくまでも自己満足の域をでない。」
というのが私の正直な感想です。
認定理学療法士は5年間の有効期限しかありませんし更新するためには手続きやお金が必要です。
このような手間を惜しんでまで果たして認定理学療法士を維持する必要があるのだろうか…。
つい先日認定理学療法士の更新手続きをしながらも、このような雑念が常に頭の中を駆け巡っていたのが正直なところです。
先日自宅に送られてきた日本理学療法士協会の『JPTA NEWS 2017 October No.309号』を読んでみると少し考え方が変わりました。
これから看護師さんほどではないかもしれませんが、認定理学療法士が病院などの組織の中でもそれなりに有用な資格になり得る可能性があると感じたのです。
なぜならJPTA NEWSの中に認定理学療法士制度を含む生涯学習プログラムが大きく変わるという記事を読んだからです。
もしも現時点で認定理学療法士の取得考えている方や受験すべきか迷っている方は今のうちに目指すべきだと私は強く考えます。
なぜ「認定理学療法士を持っていても何も意味がない・メリットがない」と先ほど偉そうにいったばかりの私がそのように考えたかを現状の生涯学習プログラムや認定理学療法士の制度の変更点をご紹介してお話して行きたいと思います。
H33年に生涯学習プログラムの改定内容
来年のH30年に具体的な新制度が確定して、H33年4月から新制度での生涯学習プログラムが動き始めます。
改定の目的について、
「理学療法士の臨床能力の底上げと努力(研鑽をした会員が正当に評価される)ということ」
このように書かれています。
改定のポイントについても下記のように書かれています。(赤字が認定理学療法士に大きく関するものです。)
- 研修理学療法士プログラム(現新人教育プログラム及び認定理学療法士プログラムの大幅な時間増加)
- 登録理学療法士制度の新設により実質的免許更新性を目指す
- 外部評価が得られる水準に進化させ、認定理学療法士制度を医療広告ガイドラインにも合致するものに
- OJT(on the job training)の導入
- e-Learningの積極的活用
- 学部評価機構の構築
引用)『JPTA NEWS 2017 October No.309号』
認定理学療法士の制度の時間の違い
引用)『JPTA NEWS 2017 October No.309号』
制度変更の詳細はH30年である来年に決定するそうですが、今発表されているだけでも上のグラフが表しているように認定理学療法士の取得にかかる時間が大幅に変更となります。
具体的には現行の制度では新人教育プログラムも合わせても37時間の時間を費やすだけで認定理学療法士の取得可能だったのにもかかわらず、H33年からの新制度になれば675時間の時間を費やすことが必要になるからです。
認定理学療法士の取得を今後考えている方や迷っている方は今のうちに取っておくべきです。
大幅な制度の改定により認定理学療法士を更新するための労力も大きくなるでしょうから、いくつかの領域で認定理学療法士を取得している人にとっては2つくらいの領域にしぼって更新することの必要性が出てくることも予想できます。
いずれにしてもこのように制度が大きく変わるのはある意味受け入れていく必要があることですし、協会としても認定理学療法士を含む生涯学習プログラムを明確なものにしたいという考えの現れっでしょうから歓迎すべきではないかと思います。
以前、認定理学療法士の必須研修会で半田会長が、
「3~4年間の養成校での勉強だけで一生飯をくおうとしている理学療法士が多いが、それだけの勉強量では臨床していくことはできない」
本当にそのとおりでしょう。とてもではないですが、臨床をやっていくのには経験だけではやっていけるものではないということを日々痛感しております。
こういった半田会長のお考えも反映されての大きな改定になるのでしょうね。
まとめ
ここまで認定理学療法士制度が大きく変わることをご紹介してきました。
勉強時間だけに焦点を当てれば同じ認定理学療法士という資格を取得することだけを考えれば明らかに今のうちに取得しておくべきでしょう。
確かにせっかく認定を取ったとしても医師や看護師の認定ほど力を持つようには思えない方も多いのではないでしょうか。
しかしこれだけ大きく制度を変更し医療広告ガイドラインにも対応するようにするのであれば現状のように、
「認定理学療法士は持っていても意味がない。」
というような状況からは脱することが将来的には可能になるかもしれません。
今後も理学療法士として働いて行きたいと考えている方は今のうちに認定理学療法士にチャレンジしてみることをお勧めします。
制度変更後は受験するための条件を準備するだけでも大変になることは明らかですので。
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