はじめに
私たちが消費者側に回って考えたとき、モノやサービスの値段って安いほうがいいですよね。
ただ安いということはどこかに負担がかかっているということですよね。
例えば仕入先だったり、従業員だったり、発送してくれる方々に対する報酬が下げられて負担がかかっている可能性があるということ。
いかに値段を下げることが事業を運営して行く上でマイナスに働くのかを知ることができる本です。
また消費者側としても安易にモノやサービスを安く手に入れようと考えすぎることが悪であるということを知ることができます。
値上げをしなくてはならない
私は、経営者のもっとも重要な仕事のひとつが、働く人の生活を守ることだと思っています。
もしもお客さんのことを思うあまり値上げができず、結果的に社員やパート・アルバイトに迷惑がかかるのなら、思いやりが悪い結果を生んだだけということになります。
はっきり言います。値上げに抵抗があろうとなかろうと、あなた自身や、あなたと一緒に働く人が幸せになるためには、値上げをしなくてはならないのです。
ですから、抵抗を感じながらも値上げをする決心をしてください。
引用)『小さな会社・お店のための値上げの技術』(辻井 啓作 CCCメディアハウス)
経営者なら自分たちの売っているモノやサービスに対して自信を持つべきですよね。これはある意味経営者としての責任ですね。
もちろん客観的な視点は必要でしょうが、もしも自分たちの売っている商品に自信があれば安易な値下げなんて頭に浮かんでこないでしょう。
粗利をどう還元するか
値上げに罪悪感を持つのは、値上げした利益を自分が贅沢をするために使うというイメージが強いからだと思います。
私は個人的には、値上げして経営者がいい車に乗っても、高いお酒を飲んでも、いい服を買っても構わないと思います。
しかし、それ以前に、この本を読んで値上げしようかどうか迷っている多くの人にはやることがたくさん残っているはずです。
得られた利益は、経営者が贅沢をする前にまず、販売促進にあてて商品やサービスの売り上げを増やしたり、品質を高めたり、社員の待遇を良くしたりすることに使わなければなりません。
そうでなければ、会社や店が続いていくことはないでしょう。それらに利益を使うことに罪悪感を持つことはありません。
ですから、堂々と値上げをするべきなのです
引用)『小さな会社・お店のための値上げの技術』(辻井 啓作 CCCメディアハウス)
経営者の懐を潤すことだけを考えて値上げしても、経営者が潤うのは一時的なものでしょう。
お客さんも従業員もその辺は敏感です。
値段のメカニズム
「値段がわからない商品」値段のメカニズムについて、もうひとつ重要なのが「値段がわからない商品」に対しての行動です。
当たり前のことですが、人はすべての商品やサービスについて知識を持っているわけではありません。
ですから、大半の商品やサービスの値段はわからないはずなのですが、実際には値段がわからなくて不自由を感じることはそんなにありません。
自分の生活に必要なものはたいてい、何度か買った経験があり値段を知っているからです。
また、ある商品やサービスを買ったことがなくても、それとほぼ同等と思われる商品やサービスの値段を知っていれば、おおよその値段の見当をつけることもできます。
…
例えば、 多くの人にとっては、 弁護士に裁判を依頼する費用、 健康保険適用外の差し歯の費用、 深夜に鍵をなくして鍵屋さんを呼ぶ費用、 初めて行った国のタクシー料金、 画廊で見た絵画や美術品などは、まったく値段の想像がつかないのではないでしょうか。
引用)『小さな会社・お店のための 値上げの技術』(辻井 啓作 CCCメディアハウス)
消費者目線に立つと確かにモノや特にサービスの値段はわかりませんよね。
弁護士に裁判を依頼する費用、 健康保険適用外の差し歯の費用、深夜に鍵をなくして鍵屋さんを呼ぶ費用、 初めて行った国のタクシー料金
こう行ったたぐいのものは、緊急事であることも多く、ある意味サービス提供者側の言い値がまかり通っていることも多いでしょう。
モノを扱はないサービス業の値段は個別で差が出やすい
サービス業の中には、街のクリーニング店や理髪店、美容院といった店舗で行うものから、 清掃など客先に出向いて行うもの、病院 など専門 性が高いもの、税理士や弁護士のように法人を対象にするものなど、さまざまなものがありますから 一概 にはいえませんが、一般的には形の あるモノよりも値段が知られていないことが普通です。
ただし、サービスは形がなく目に見えませんから、逆に値段を明確にしようと、業界や制度で値段を決めている場合があります。
タクシー料金、以前の理髪店の値段、病院の診療費などです。
このように制度で値段を決めているというのは、個別に値段の差が出やすいことの裏返しともいえるでしょう。
例えば、クリーニングは取り扱う店の技術により値段が違うことがよくありますし、専門性の高い税理士などの場合でも人によって仕事の出来が違うので、価格はまちまちですから、一般の人にとっては値段がわからないものだといえます。
引用)『小さな会社・お店のための 値上げの技術』(辻井 啓作 CCCメディアハウス)
医師や私たちリハビリを担当するセラピストの診療報酬はがっつり固定されていますよね。
医療の報酬がここまで決められているということは差が出てしまいやすいからなんですね。
今後、どんどん自由診療などが医療にも入り込んでくるとこの辺がどんどんシビアに評価される時代になることは間違いないと思います。
値段のメカニズム
値段のメカニズム①
- 商品力= 商品の価値 ÷ 商品の価格
- 商品の値段は誰が見ても同じだが、商品の価値は見る人、場合などによって違う
- 値段を下げずに商品力を高めるには、商品の価値を高く感じてもらうこと
値段のメカニズム②
- 人は見たことがないものについては、そのものの価値から商品の正しい値段を推測しようとするが、実際にはほとんどの人が価値を正確に測ることができず、値段は推測できない
- 次に類似のものから推測しようとするため、類似のものの値段の情報を集める
- それでもんだんが推測出来ない場合は、逆に値段から品質を推測しようとする。ただし、値段から品質を推測したことを忘れ、品質を自分で判断したと思い込むことが多い
値段のメカニズム③
- 業務用の材料の仕入れなど、買う立場の人が本当に価値を判断できる場合には、値上げはできない
- 他所で売っている価値が知られている商品は、そのまま値上げすることはできない
- 生鮮品、料理など厳密に同じものが存在しない商品や、提供者によって品質に差が出るサービスは値段が知られておらず、値上げしやすい
- 値段が知られているものは、基本的に一番やすいところで購入される
引用)『小さな会社・お店のための 値上げの技術』(辻井 啓作 CCCメディアハウス)
提供者によって品質が異なるものってたくさんあります。
こういった提供する人によって品質が異なる業界で働いている人こそ自分の仕事に対する適正価格っていくらかを考えて見ても良いと思います。
まとめ
本書は値上げを検討される方にももちろんオススメですが、会社員であっても自分の仕事に対する対価がいったい幾らくらいなのか?
と考えてみる良いきっかけになります。
また、特に個人で経営する店ほど格安競争に巻き込まれないためにも値段を下げて対抗しないほうが良いということを知ることができます。
ご一読ください。
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