はじめに
みなさんキャッチコピーって考えたことがありますか?
キャッチコピーを考えるにあたって凄くオススメの本に出会いましたのでご紹介します。
そもそもコピーライターとは?
僕 が職業にしてきたコピーライター/ クリエイティブディレクター とは何をする人なのか。 それは、
商品をいじらずに、言葉を使って商品の価値を上げる人
と言えましょう。
魔法みたい? そうですね、ある意味、魔法使いのようなものかもしれません。 言葉は魔法です。エロイムエッサイム。 ちょっと古い?
みなさんは、コピーライターやクリエイティブディレクターの仕事 を、 企業や商品の内容を〝 伝える〟 ことと思っていたかもしれません。 実はそんな単純なことではないんです。
〝 価値が上がるように伝える〟のが仕事なのです。〝価値が上がる〟ことをやるから、それに応じた報酬がいただけるのです。 そもそも広告の役割とはなんぞや。それは、モノとヒトとの新しい関係を創ることです。
引用)『ここらで広告コピーの本当の話をします。』(小霜和也 著 宣伝会議)
私はコピーライティングを仕事にしている人に直接お会いしたことがないのでとても勉強になります。
例えば私がコンディショニングセンターなんかを開くとしたら、治療技術とヒトの新しい関係を作ることができるようなキャッチコピーを考える必要があるということですね。
キャッチフレーズとタグライン
“東京コピーライターズクラブ(TCC)というコピーライターの団体があります。そこでTCC賞というコピーのアワードを主催しています。
2014年度のTCC賞グランプリはソフトバンクの「バカは強いですよ。お利口さんよりも、ずっと。」でした。
これはキャッチフレーズです。
もっとバカになろうよ、古いルールを捨てようよ、という今の生活者の気分をうまくすくい上げているから、「そうだ、そうだ」という共感、関心が得られるのです。
しかし、この言葉によって生活者とソフトバンクの関係が変わったかというと、その役は果たしていません。
この場合のタグラインは、「つながりやすさ№1」になります。
「それ、コピーと言えるんですか。普通の言葉じゃないですか」なんて思ったなら、あなたはまだ広告コピーがわかっていないということ。
言葉の工夫とか、そんなのは二の次の話。
これまでつながりやすい携帯と言えばドコモだろうという共通認識があった。
それをひっくり返してやろうという戦略がこの言葉に入っているんです。
これを聞いて動揺したドコモユーザーはたくさんいるはずで、これをきっかけにソフトバンクに乗り換えた人も多いでしょう。
まさにモノとヒトとの関係を創っているんですよ。そして、タグラインには、妙な言葉遊びや工夫など不要。直球がいいんです。
かたやドコモの現在のCMシリーズはとても表現リッチで若い人に受けそうです。
しかし「ドコモは新料金の時代へ」というタグラインにどれほどの力があるかやや疑問です。勝敗のキーを握るのはタグラインなのです。
蓄音機を発明したエジソンは、当初、この発明品をいったい何に使えばいいのかわからなかったそうです。技術的な革新を追い求めて、使い方を考えていなかったんですね。
それで彼は、遺言を録音再生するための機械として蓄音機を売り出しました。
それからしばらく経って、どこかの誰かが「これ、音楽を録音しておいて、再生するといいんじゃね?」と思いついたんですね。
「音楽レコード」誕生の瞬間です。
これはいわば、「遺言の録音・再生に。エジソン蓄音機」というタグラインを、「音楽の録音・再生に。エジソン蓄音機」と書き換えたようなものです。
「私には、父の声が最高の遺産でした。」とかカンジいいキャッチフレーズをがんばって書いてもコピー料数万円ぐらい?でも「音楽の録音・再生に。」というタグラインは1兆円ぐらいもらっても変じゃありません。
キャッチフレーズの役割は、あくまでもターゲットの関心をキャッチすること。
ですが、コピーの最も重要な役割である言葉を使ってモノとヒトとの関係を創る、企業や商品の価値を最大化するのはタグラインであるということを覚えておいてください。
引用)『ここらで広告コピーの本当の話をします。』(小霜和也 著 宣伝会議)
私がもしも整体院を開業するとするならば、その際のキャッチフレーズとタグラインを考えてみたいと思います。
- キャッチフレーズは関心をキャッチすること。
- タグラインは価値を最大化するために分かりやすいものにする。
この2つを押さえた上で考えてみたいと思います。
キャッチフレーズ
- 体が動けば心もはずむ。
- カラダも。ココロも。
- カラダが辛いと心も辛い。
- 自由になる体を誰もが持っています。
- 100年使える体を手に入れよう。
- あなたが元気でいれば3万人が元気で幸せになります!
- 空も飛べるはず。
- 羽を生やしてみませんか。
- 開放感に溢れた人生を。
- pain pain go away
- あなたの体歪んでます。
- 今、体が生まれ変わる
- 私が歩こうとするとみんな心配した、私が歩き始めると…
- このまま体の痛みを放置すると、最悪の場合は動けなくなることもあります。
タグライン
- 極上の技術体験しませんか
- 理学療法士が体のメンテナンスします。
- 理学療法士があなたを体の痛みから解放するお手伝いをします。
- 普段の生活が楽になる
- やりたいことができる身体になる
- 骨盤の歪み戻します。
全然思いつかないと思っていたのですが、意外と出てくるものですね。ちょっとふざけたものもありますけれども。
仮に電動アシスト自転車のキャッチフレーズを考えよう
さて、ここでお題。「電動アシスト自転車のコピーを書いてください」。(……アウト)いや、もうそんなことはないですよね。
あなたはさっそく書き始めるのでなく「それはどのメーカーの、どんな電動アシスト自転車ですか?そこがわからなければ書けないよ」と思ったはず(そうでなければこの本を最初から読み直しましょう)。
では仮に、この商品のUSPが、「競合よりもパワフルなアシスト力」だとします。
次はターゲット。どんな人がそこに価値を感じて、買ってくれそうでしょうか?たとえば、育児で疲れているお母さんたちはターゲットに相応しいと思います。
たぶん、毎日、最も重い荷物を載せて自転車を漕いでいるのはこの人たちです。
そう、最も重い荷物とは子どもです。たまに、前と後ろに一人ずつ乗せて走っているお母さんを見かけます。
そこにスーパーの買い物袋まで乗せて……。多少お高くても、パワフルな電動アシスト自転車に飛びつきたくなるんじゃないでしょうか?
この場合のタグラインはどうなりますか。
この商品の価値に気づかせてあげる言葉です。
「お子様乗せても坂道ラクチン!」とか、どう。えっ、ベタすぎる?そんなことを言っているならあなたは退場。
ベタで何の問題が?タグラインは「わかる」ことが何より重要なんです。
ではこの場合、キャッチフレーズはどんなのがいいでしょう。
キャッチフレーズを書くための手法はいろいろありますが、ここではひとつのやり方として、ターゲットの「共感」を得る表現を考えていきます。
「共感」とは何か、その商品にからんだ強い感情を思い出してもらう、ということです。
生活者にはいろんな欲求や不満、不安があります。
商品に価値があるとは、そういったものが商品によって満たされそうだ、ということ。
商品を買うとは、そういったものを満たすための行動をする、ということ。なので、その商品がない状態での不満、不安のMAXを描く。
あるいは、その商品を入手した状態でのうれしさ、気持ちよさのMAXを描いてあげればよい、ということになります。
前者なら、たとえば、幼児と荷物を積んだお母さんが普通のママチャリから下りて足をさすっている、といったビジュアルに、「ふ、ふくらはぎがつった……。」といったキャッチフレーズはどうでしょう。
ママチャリに子どもやらスーパーの袋やら乗せて、筋肉がガチガチになるまでがんばって走る、そのつらさを思い出してもらうわけです。
「あ、あれやったことある!」「あれつらいんだよね〜!」とターゲットが思ったら成功。
後者なら、逆に、満面の笑顔で、電動アシスト自転車で、幼児と荷物載せて坂道を座ったまま漕いでいるビジュアルに、「座ったままで、すいー♪」といったキャッチフレーズはどうですか。もし普通のママチャリなら根性で立ちこぎするかあきらめて降りて押すしかないはず。
「あ、あれやってみたい!」「ああいうのいい!」とターゲットが思ってくれたら成功。そして、「お子様乗せても坂道ラクチン!」というタグラインを見た彼女たちは自分と自転車の関係を変えようと思うかもしれません。
汗かきながらがんばる関係よりも、涼しい顔でラクに漕げる関係がいいと。これが広告コピーの基本的メカニズムです。もし、この商品のUSPが、「ブレーキ力を電力として蓄えるハイブリッドシステム」だったらどうなるでしょうか。
ターゲットは少し変わってくるはずです。たとえば「新しもの好きの男性」とかが可能性として入ってきます。バッテリーが長持ちするということはこれまでよりも長距離走行を可能にするということですから、もしかすると「長距離自転車通勤したい会社員」も視野に入ってくるかもしれません。
逆にあまり長い距離を走らない、近所のスーパーや学校に幼児を乗せて走るお母さんにとって魅力のあるものとは言えなくなってくるでしょう。USPが変われば、おのずとターゲットも変わってきます。
この関係を理解しておいてください。
ところで、これがテレビCMになったら、「ふ、ふくらはぎがつった……。」「座ったままで、すいー♪」といったキャッチフレーズは言葉にせずとも役者さんの表情で伝わってしまうかもしれません。
その時は、言葉としてのキャッチフレーズは不要になります。この場合、キャッチフレーズは演技の中に埋め込まれていると考えるべきでしょう。
引用)『ここらで広告コピーの本当の話をします。』(小霜和也 著 宣伝会議)
自転車の好きの私としては大変気になるお題ですね。
私が今度電動アシスト自転車を買うとしたら、
キャッチフレーズ
- どこまでも行っちゃおう。
- 歩くよりも楽です。
- 全く疲れません
タグライン
- 全然しんどくありません。
- 走っている間に充電できます。
というような宣伝文句に弱いかもしれません。
本文中に仕切りにでてくるUSPとは競合に対しての優位性、競合に比べて勝っているところをいいます。
まとめ
新商品の開発の売り出しなどでキャッチフレーズを考えなくてはならない方の中にも全くキャッチフレーズを考えたことがない方もおられるでしょう。
そんな方にもキャッチフレーズとタグラインという重要な概念を非常に分かりやすく学べる本です。
ぜひとも、ご一読ください。
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