はじめに
つい最近、証券口座を開設されつみたて投資を始めたばかりの方から、
「現在積み立てているリスク資産が妥当なものか?」
といった趣旨のご相談をいただきましたので今回はこれについてお話ししていきます。
質問者さまはあらかじめ投資を始める前から投資の勉強をされ、
- つみたてNISAで投資信託でのつみたて投資
- 特定口座でも米国籍のETFへのつみたて投資
の両方を同時期に合わせて始められたとのことです。
つみたてNISA・特定口座のリスク資産とポートフォリオ
質問者さまがつみたてNISAで定期買付している銘柄は次のようなものです。
少々見にくいので上記のポートフォリオを書き出すと、
つみたてNISA口座では…
特定口座では米国ETFの…
- VT
安全資産(含む生活防衛資金)はシンプルに
- 日本円
というポートフォリオで運用されています。
質問者さまはまだ投資を始めたばかりで投資方針としては漠然と…
- 世界経済の発展に託しコツコツつみたて投資をしていきたい
と考えておられるようです。
つみたて中のリスク資産の考察
まずはつみたてNISAで積み立てているリスク資産の銘柄をみていきます。
まず日本を除く全世界に投資できる
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
に投資されていますね。
そして出来るだけリスクを分散させたいというお考えから、
- 日経平均に連動するニッセイ日経225インデックスファンド
- 米国インデックスであるS&P500に連動するeMAXIS Slim米国株式(S&P500)
に投資をされています。
世界分散投資するために複数の投信を組み合わせる必要があるのか?
リスク分散のためいくつかの投資信託を組み合わせたいという発想はよくわかります。
そもそも数年前まで国内の投資信託を使って世界分散させようと思うと自分で3〜4つほどの投資信託を組み合わせることでしか世界分散させる方法はありませんでしたしね。
ただ資産運用を1年も続けるとポートフォリオ内の配分は相対的に崩れてきます。
その崩れた配分を手動で元に戻す作業(リバランス)が非常に面倒でしたね。
このリバランスの作業を楽しみにしている投資家もおられるのですが私にとっては面倒でしかなかったのを覚えています。
面倒なんですが投資成績を上げるためには最低年に1回程度のリバランスは欠かせない…。
しかし今となってはたった一本の投資信託を保有すれば日本を含む全世界に満遍なく投資できる投資信託が存在するのです。
その名も…
という投資信託です。
すでに質問者が積み立て投資されているニッセイ外国株式インデックスファンドとeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の違いは何かというと…
- eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー):日本含む全世界
- ニッセイ外国株式インデックスファンド:日本含まない全世界
つまりどちらも全世界に投資するんだけど日本を含むか否かが大きな違いです。
ちなみに運用コストつまり手数料は両者とも年間で0.11%前後と拮抗しており十分安い水準ですね。
それぞれの純資産額は…
- eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー):321億円
- ニッセイ外国株式インデックスファンド:1590.84 億円
とどちらも国内レベルでは申し分ない規模です。
ニッセイ外国株式インデックスファンドの純資産額が大きいのは単純にファンドの誕生が早かったからというところです。
質問者さまがアメリカや日本への割合を増やして投資をしたいわけでないと仮定します。
そうであるならあれこれと投資する銘柄を増やす必要は全くありません。
先ほどご紹介した…
eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)というコストも安く純資産額も大きい秀逸な投資信託一本に投資するだけでいいのです。
もちろんリバランスもeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)内で自動でやってくれるため投資家の手間も省けます。
ニッセイ日経225インデックスファンドについて
細かいのですがニッセイ日経225インデックスファンドの手数料は
0.275%
というのが今の時代には少々高いように感じます。
全世界に投資してくれるeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)が0.1144%なのにどうして日本だけの投資信託に0.275%も支払う必要があるのだろうかと思ってしまうのは私だけでしょうか。
もしも質問者さまが、
- 今後の日本の発展を望んで投資をしたい
- 日本の株価が大きく成長すると見込んでいる
という思いや考えがないのであるとします。
そうであるなら私は別にニッセイ日経225インデックスファンドをポートフォリオに組み入れる必要はないんじゃないかと思うわけです。
なぜならeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)一本に投ずるだけで自動的に日本にも約7〜8%の割合で投資することになるからです。
- 本当に7%以上の割合を日本に投資する必要があるのか
- 少々高い手数料を払ってまでニッセイ日経225インデックスファンドに投資をする必要があるのか
についてはあらかじめ考えておいてください。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)はどう考えるか?
質問者さまがつみたて設定されているeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は最近の米国株人気も相まって人気のある商品です。
手数料も0.0968%と非常に安いです。
しかしVTと同じく米国籍のETFの中にはVOOというETF があります。
VOOは純資産額15兆円の超巨大ファンドで安定感が半端なくバンガード社という巨大企業が運営しているETFです。
連動する指数もS&P500とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と同じです。
それなのにも関わらずVOOの年間のコストはたったの…
0.03%
です。
これは100万円をVOOに突っ込んだとしても年間にしてたった300円だけバンガード社に支払えばいいということですよ。
ここまできたらもうタダみたいなもんですよね。
どうしても世界分散投資をする中でアメリカへの割合を増やしたいという考えになったのであればVOOへの投資するのも一考だと私は考えております。
結論
ご質問者さまに対する回答としては…
- つみたてNISA:eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
- 特定口座:VT
上記2つのファンドを軸にしてまずは積み立て投資を行ってください。
SBI証券であれば投資信託・ETFともにつみたて設定が可能です。
そして投資を続けながら見識を深めるなかで…
- 今後もアメリカ経済の高い成長を確信できる
などと信じれるのであれば先ほどご紹介したeMAXIS Slim米国株式(S&P500)やVOOを買っていくのも良いかもしれませんね。
投資に正解はありません。
何れにしてもある程度自分の軸ができるまではキャッシュポジション(現金割合)を十分に確保してください。
そしてeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)やVTといった優良なファンドを用いてリスク分散をしっかり図りながら自分好みのポートフォリオを作り上げてください。
繰り返しになりますが…
リスク分散を図るという観点でいえば今やたくさんの投資信託やETFを組み入れる必要は全くありません。
ややこしいことをしなくてもこれら2つのファンドに投資をしていくだけで多くの投資家よりも優位な成績が期待できるとされていることを最後に申し伝えておきます。
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