はじめに
ここ最近のコロナショックによりETFの中でも私が以前より注目していたSPYDの株価が大きく下落したことで更にこのETFの魅力が高まったと考えています。
そもそもETFとは何かについてお話しします。
ETFとはExchange Traded Fund の略で日本語では上場投資信託といいます。
ETFも大きな枠で捉えると投資信託なのですが、
個別株のように株式市場に上場している投資信託
がETFなのです。
市場に上場しているか否かでETFと投資信託の住み分けがなされています。
したがってETFも投資信託と同じく個別株の寄せ集めがETFなのです。
簡単にいうと株式がパッケージ化された商品であるといえるでしょう。
SPYDが誕生日は2015.10.21ですので世に出てからまだ5年程度の運用実績となります。
それではこのSPYDというETFのメリット・デメリットについてこれからお話ししていきたいと思います。
SPYDのメリット
SPYDの魅力は何かといわれるとたくさん思いついてしまうのですが次の3つを選びました。
- 高配当
- 経費率が安い
- 割安銘柄に逆張り投資
これらがSPYDのメリットであり魅力だと私は思います。
高配当
高配当つまり配当金が多くでることが何を差し置いてもこのETFに投資するいち番大きなメリットでしょう。
2020.6.17時点での年間配当利回りは…
とETFではちょっとあり得ないくらい高配当です。
もちろんコロナショックにより株価が下がったことも高配当になる要因として大きいのですがS&P500に含まれる企業の寄せ集めでこれだけの高利回りを実現できるなんて本当に凄い!
ちなみにコロナショック前はだいたい4%台の配当利回りで推移していました。
もちろんここからさらに税金が引かれますので実際の受取率はもう少し下がりますけれども。
なぜこのETFがこれだけの高配当を実現できるのかというとS&P500の中から高配当企業である上位80社に自動で投資してくれているからです。
そもそも米国企業は日本企業と違い株主への還元に命をかけている企業が多いのです。
連続増配したり減配しない企業が多いのです。
日本では花王が連続増配35年と最長です。
一方アメリカでは連続増配50年以上の企業がチラホラあります。
また80社それぞれの企業規模にかかわらず1.25%ずつの割合で投資しているのもこのETFの特徴です。
現在はコロナの影響で無配の企業がSPYDから除外されているためこの記事を書いている2020.6.17時点では今年1月に組入銘柄が80社でスタートしたのですが64社にまでSPYDへの組み入れ企業が減少しています。
配当金はいただくたびに税金がかかるというデメリットも存在するため配当金を出さないETFに比べると確かに資産を構築するという意味では足かせにはなります。
ただ定期的に配当金という不労所得つまりキャッシュフローが欲しいという投資家にとってSPYDなどの高配当ETFは非常に魅力的な存在なのです。
SPYDに資金を投入し続け配当金だけで生活費を賄えるようになれば売却を考える必要もなくなるため出口戦略のときにも、
「いつ売却しようか?」
などと悩まなくて良いのもSPYDの大きなメリットであると私は思います。
SPYDの業種別の割合つまり銘柄の中身は何かというと、
- 不動産
- 一般消費材
- 公益事業
これらの比重が高くなっております。
もちろんこれらは時期によって変わります。
経費率が安い
このETFは非常に経費率が安く現時点では年間でたったの0.07%です。
例えば、
- 100万円投資しても700円
- 1000万円投資しても7000円
しか年間で手数料かからないことになります。
ちなみに1日あたりのコストにすると…
- 100万円で1.9円
- 1000万円投資しても19円
SPYDに投資することで期待できるリターンからすればタダみたいなコストです。
本当に本当に少しの費用で投資できてしまうのです。
それにしてもなぜこんなにも手数料が安くて運用できるのか…?
理由はSPYDの運用会社が世界の資産運用会社ビッグ3のひとつであるステート・ストリート社という超巨大優良企業なのです。
巨大企業のスケールメリットが働くため非常に手数料を安く抑えることができるのです。
ちなみに資産運用会社3巨人とは、
- State Street Global Advisors:ステート・ストリート社
- Vanguard:バンガード社
- Black rock:ブラックロック社
です。
聞いたことがある方もおられるのではないでしょうか?
これら3社の株式運用総額は1000兆円越えており世界の時価総額の1割を超えています。
またこのSPYDは基本的に1月と7月の年2回自動でリバランスしてくれます。
半年も経てばS&P500の中でも高配当企業80社の順序は移り変わります。
そこで年2回改めて80社を選定して投資をしてくれるのです。
これってなかなか個人レベルではできることではありません。
割安銘柄に逆張り投資
SPYDに投資することで自動で逆張り投資ができます。
そもそも逆張り投資という言葉を初めて耳にした方もおられるでしょう。
逆張り投資とは人気が高いときに売り人気が低いときに買うというものです。
それに対するものして順張りというものがあり人気が上がるつまり値段が上がったときに素直に買い値段が下がるにつれて売るというものです。
先ほどご紹介したようにSPYDはS&P500のなかでも高配当の企業へ投資します。
高配当であるということは自然と株価が下落している企業に投資することになります。
Apple やAmazonなどの今をときめく企業は配当金はほとんど出さないのに対してSPYDの組入銘柄というのは成熟したおじいちゃん企業であることが多いです。
そうはいってもS&P500企業に組み入れられるくらいですから俯瞰してみると優良企業であるといえるでしょう。
ダウの負け犬投資法というのがありますがこれはS&P500の負け犬版といえるでしょう。
なぜ「負け犬」なんてちょっとネガティブな言葉でネーミングがされているのかというとSPYDに限らず高配当株は不人気な株式でキャピタルゲインを期待しにくいものが多いためです。
不人気株を負け犬と表現しているのです。
ダウの負け犬投資法については下記に紹介されていますので興味のある方はご一読ください。
SPYDのデメリット
物事にはメリットの裏側にはデメリットが存在することが自然の摂理です。
3つ挙げるとするならば…
- 暴落に弱く回復が遅い
- 資産希望が小さい
- 株価の大きな上昇は期待できない
これからSPYDのデメリットをご紹介したいと思います。
暴落に弱く回復が遅い
2015年にSPYDが世に出て以来株価は右肩上がりで直近最高値ではおおよそ$40-をつけました。
しかし今回のコロナショックによる1番底では$20.79-まで下げましたね。
これはS&P500に連動するVOOなどと比較すると下落率は大きいです。
また有名どころの高配当ETFであるHDVやVYMと比べても安定性は低いといえます。
それに底値からの回復は非常にゆっくりです。
ETFの中でもハイテクの寄せ集めであるQQQはすでにコロナショック前の高値を更新しているというのにもかかわらず…です。
ただ私自身はこれをデメリットとは捉えておらず逆に安く買えるうえに普段買うよりも高配当を享受できると捉えております。
何れにしても売買を繰り返して利益を得ていくというキャピタルゲイン派の方にとってはデメリットの多いETFだと思われます。
資産規模が小さい
SPYDが世に出たのが2015年とまだ5年足らずの商品になりまだまだ資産規模としては2190億円と純資産額は大きくはありません。
同じ高配当ETFで人気のETFの純資産額を調べてみたのですが、
- ブラックロック社のHDV:6660億円
- バンガード社のVYM:2.9兆円
高配当ETFではなくS&P500に連動するVT・VOOの資産規模を調べてみたのですが、
- バンガード社のVT:1.5兆円
- 同じくバンガード社のVOO:15.7兆円
もうSPYDと比較すれば雲泥の差ですね。
ただ安定的に資産規模は拡大していることに加えて何よりState Street Global Advisorsという超巨大資産運用会社が管理しているので個人的にはそれほど心配していません。
もっと資産規模が拡大したら経費率は0.07からもっと下がるかもしれませんね。
株価の大きな上昇は期待できない
SPYDはS&P500の中でも高配当を吐き出すいわば、おじいちゃん企業の寄せ集めであることを先ほどお話ししました。
おじいちゃん企業つまり成熟した企業というものは今をときめくGAFAMのような大きな株価の上昇は期待できません。
高配当株は不人気な株式でキャピタルゲインを期待しにくいものが多いのです。
そもそもSPYDはキャピタルゲイン(値上がり益)を狙っていくのではなく定期的に配当金をいただくつまりインカムゲイン狙いのETFなのです。
しかしSPYDは小型株効果を利用することで高い値上がり益も追求しようと設計されているところが特徴です。
SPYDは米国のETFであるため米国と日本の両方に配当金をいただくために二重課税と呼ぶのです。
これは高配当であればあるほど負担が大きくあり絶対に支払う必要があるといいますか強制的に天引きされてから配当金が振り込まれます。
米国に支払う外国源泉税と米国に税金を支払った後の金額から日本に所得税と地方税を支払う必要があるのです。
税率としては…
- 米国に10%
- 日本に20.315%
どう考えても決して安くはありませんね…。
ですがこれだけの税金を支払ってでも含み益(株価の値上がりにより数字上の利益)ではなく不労所得といえる現金を定期的にいただける安心感というのは税金を払ってでも受け取りたいと現時点では考えています。
また米国税の10%に関しては確定申告で取り返す方法もあるようです。(私はまだ試みたことがないため手法など詳細は理解していません。)
まとめ
ここまでSPYDのメリット・デメリットについてお話ししてきました。
SPYDは超優良ファンドでありお金のなる木といえることをわかっていただけましたでしょうか。
私はこのSPYDを相当気に入っておりデメリットさえもメリットと捉えている節があることにお話ししていて気づきました。
したがってここまでお話ししたことは私個人の相当なバイアスが入っております(笑)
これから投資を始める方はSPYDだけでなく他のETFについても投資される前に調べていただき投資されることをオススメいたします。
ここではSPYDについてお話ししてきましたが長期で投資できる胆力さえあれば実績のあるETFに投資続ければ人間の健全な欲による世の中の発展が期待できる資本主義において必ず投資することによって果実は期待できると思います。
- コロナショックの第二波でまだまだ株が下がるよ。
- アメリカと中国で戦争するかもしれないじゃないか
- ドイツ銀行の破綻により資本主義も崩壊するよ
などと投資を辞めたくなるようなご意見もあるでしょう。
しかし株式市場の発展が期待できないような状況になるのであれば株式だけでなく資本主義が終わってしまうんじゃないか。
それはお金の価値がなくなるような世の中になるということです。
投資をせずにお金を温存しておいたとてお金が有効でない世の中になってしまったらお金を持ってる意味すらないですよね。
そんなほとんど起こり得ない未来の心配をして投資せずにお金の流れを自分の留めておくことは自分自身のお金を増やす機会損失になるだけでなく世の中にとっても迷惑な話でしょう。
せっかく株式投資という自分も世の中もwin-winになれるような仕組みを証券口座を開きさえするだけでいとも簡単に個人レベルで実現できる世の中を生きているんです。
みんなでこの仕組みを目一杯使って楽しくこの世を生きようではありませんか!
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